5月病な日々

脚色と虚構

親指に自信がある

ひとは人生において数えきれない程のお世辞のやり取りをする。

私などは極端に自己肯定感が低いので、だいたいどこを褒められてもお世辞にしか感じられない。

のだが、唯一親指だけは自信がある。

他の指はてんでダメだ。足もいけない。だが両手の親指にだけは絶対的信頼を置いている。

私の親指は長い。爪も長い。更に適度に細い。何より第一関節から第二関節にかけて緩やかにくびれがあるのがよい。

自分のチャームポイントはと聞かれたら、迷わず親指と叫ぶだろう。

単純に私を構成する他の要素が出来損ないばかりな為、唯一まともな造形をしている親指への親愛の情が強くなってしまっただけだと言われればそれまでだが。

私にとって親指とはさながら砂漠に咲いた一輪の花である。

砂漠に咲いた一本の親指。

それはさすがに気持ち悪いですね。